上古天真論篇 第一 問 「健康に長生きするためには?」
答 「養生の道理をわきまえ、陰陽の変化の道理に従って生活を整え、飲食・労働・休息の節度を守ること。そうすれば本来の寿命である100歳以上まで心身ともに健康に生きられる。(ここでは詳しい養生の方法、陰陽の変化の道理に従う、の内容については書かれていません。それは書かなくてもわかるでしょ?という理由からなのか、それとも後々説明されるのか。)そもそもひとは本来であれば100歳以上生きられるものであり、しかも肉体的、精神的に衰えるものではない。それにも関わらず酒を水かのごとく飲み、酔っぱらっては房事に勤しみ、元々生まれ持った精力を温存することなく生活しているから、50歳程度で衰えが見え始めてしまう。また、外的環境にも注意し、回避すべきときは回避しなければならない。(「ちょっと今日は本調子じゃないな、元気が出ないな、というときには本格的に体調を崩さないように寒さや暑さなどの環境にも気をつけないといけない。」という意味だと考えます。)また、欲望に踊らされることなく心を安らかに、静かに保つこと。それらを守っていれば、持って生まれた性格や能力などに関係なくどんなひとでも、何事に対しても恐れず心を乱さず、平穏素朴に生活を楽しむことができる。また、養生を知らないひとたちは、男性なら64歳、女性なら49歳になるまでに子供をつくることができなくなってしまうけれども、養生をよく理解し正しく行っていれば、年をとっても変わらずに子供をつくることができる。」
さらには、真人、至人と呼ばれるひとたちは養生法と陰陽に則った生き方を知り尽くしていたために、死ぬことはなかったと書かれています。そうなると、もはやひとではないような。仙人みたいなもんでしょうか。仙人も元々は人間なんですよね。長い修行を経て仙人になるのだとか。藤崎竜先生の「封神演義」を思い出すなぁ。
健康に長生きするためには養生が大切、ということが書かれた篇です。病気にかかってからあたふたするのではなく、病気にならない生活を送ることが大切だと教えています。ちなみに「未病」という言葉を初めて遣ったのは黄帝である、という説もあります。
現代では100歳まで生きる人は珍しくなくなっていますが(私の祖母も100歳まで生きました)、「心身共に衰えることなく」100歳を迎えることは、医療が発展し衛生環境が整った今においても難しいですね。しかし素問には、養生と陰陽の法則に従えば100歳以上健康に生きることは当たり前にできることだと書いています。詳しいやり方が気になりますね。
この篇で気づくことは、「もともと持っている精力を温存することが大切」ということです。持って生まれたものは永遠ではないので、無駄使いしないこと。頑張れ頑張れ、もっともっと!が当たり前の現在では、この考え方は珍しいように思います。無駄遣いしないためには動きすぎないことが肝要。しかし今、夜はどこまでも明るく、望めばいつまででも起きて活動することが可能です。そのせいもあって、私たちは常に精力を使いすぎているかもしれません。陰陽に従うということ、そのひとつに、明るいうちに活動し、暗くなれば眠りなさいよ、という教えが含まれているように思います。仕事や家事で忙しく、かつネットやテレビなどの誘惑が多い現代ですから、実践することはなかなか難しいですね。それでも健康に生きるために、できることから少しずつ行動していきたいものです。
ちなみに、後々私の解釈や考え方が変わったり、「しまったこれ誤読だな」と気づいたりしたときには、しれっと内容を改変、追加することがあると思いますので、ご了承ください。
それでは今回このへんで。