あなたの好きな味は?

黄帝内経素問

皆さんこんにちは。今日は暖かい日和です。一雨ごとにアジサイやブラックベリーが葉を広げ、茎をのばしています。気づけば狭い庭は緑でもっさもさです。秋冬との差に驚かされます。もっと常緑樹を植えればよかったかな…

さて、今回の後半は「食べたいものの味で、自分の弱っているところがわかるかも?」って話です。いつまで生気通天論やってんだ、って話でもある…ではどうぞ。

生気通天論篇 第三(其の9)

『霧露(雨露)や風邪に侵されると、冷えの症状や熱の症状が出ます。

もし春に風邪に侵され、それを身体がなかなか排除できなければ、邪は脾まで侵入して消化不良の下痢という症状がでます。
夏に暑邪に侵され排除できなければ、秋に悪寒発熱という症状がでます。
秋に湿邪に侵されそれが胸より上に上逆してしまうと、咳をし、さらに排除できない状態が続くと、四肢の筋脈に力が無くなります。
冬に寒邪に侵され排除できなければ、春に発作を起こし、悪寒のない熱症状が出ます。

このように、四季の気候の変化は、代わる代わる五臓を侵す可能性があるのです』



『陰精が生じる源は、飲食の五味です。また五味のアンバランスな摂取が、陰精を収蔵する五臓を傷める原因ともなります。

酸味のものを摂り過ぎると、肝気が旺盛となり、相克関係にある脾臓の気が衰退してしまいます(木剋土)。
塩辛いものを摂り過ぎると、大骨(腰骨、俗語として背骨)に巡る気が消耗され、肌肉が委縮し、心気は抑うつ状態となります(水剋火)。
甘いものを摂り過ぎると、心気は煩悶し、肌の色は黒くなり、腎気が不安定になります(土剋水)。
苦味を摂り過ぎると、脾気の潤沢さが損なわれ、消化活動を円滑に行えなくなるので、胃が脹満します(火生土)。辛味を摂り過ぎると、筋脈が損傷されて弛緩し、同時に安定した精神を保つことができなくなります(金剋木)。

節制してバランスよく五味を摂れば、骨は歪むことなく、筋肉は柔軟性を保ち、気血はスムースに流れ、肌は緻密になります。そうすることで心身は剛強となるのです。
養生の方法をきっちりと行えば、寿命を全うすることができるのです』


前半は、四季の気候に負けないためには、その前の季節から養生して身体を整えとかないといけないよ、という話です。例えば私のように、春にアレルギー症状に悩まされる者は、冬の生活態度が不摂生だった、ということになります。症状がでてから右往左往するのではなく、その症状がでないように日々養生することが大切なんだよ、そのほうが症状がでたとしても軽く、早く治るよ、ということです。今年のアレルギーはひどかったなぁ。反省…

後半のお話が面白いなぁと思うのですが、何の味を好んで過剰に摂取するかによって、将来でてくる症状がわかると言っています。あくまで過剰に、です。量と期間。適正な量であれば、それぞれ酸味は肝を、苦味は心を、甘味は脾を、辛味は肺を、塩辛味は腎を養ってくれます。やたら甘いものが食べたくてしょうがないときは、脾が弱っているのかもしれません。集中して仕事をしたあとには、甘いお菓子が欲しくなることがあります。脳に栄養が足りないから、甘いものを補って栄養を作ろうとしている状態です。ただ取り過ぎると、相剋関係にある臓を傷めてしまいます。またさらに養うはずの臓にも負担がかかってしまいます。

相剋関係というのはお互いにバランスを取り合っている関係です。夫婦の関係、と言われることもあります。例えば肝と脾なら、肝が脾の勢いを制御していると考えます。脾がやりすぎないように手綱を引っ張っているんですね。どっちが夫でどっちが妻か、それはご家庭それぞれで違うのでしょうが…さっき適当に作った相生相剋の図を参考にしてみてください。

え?と思うのが苦味のところ。苦味は火(心)に属するのですが、相生関係の土(脾)を傷めると書いてあります。相剋関係でいうなら苦味は金(肺)を傷めるはずですね。苦味の摂り過ぎは直接心を痛め、本来なら助けなければならないはずの脾を助けられず脾が弱ってしまう、ということでしょうか。それにしても、苦味を沢山とることはあまりなさそうです。野草や薬は苦いですね。薬を過剰に飲みたがるひとはいないと思いますが、薬を沢山飲まなければならない状態というのは、そもそも命の危機ですから、心が弱っている、ということになるのかもしれません。もしかしたら、薬の飲み過ぎは消化器官を壊すよ、と警告しているのかもしれません。この辺りはわかりづらいですね。

また、何を食べるにしても、消化吸収を主るのは脾胃です。バランスの悪い食生活は、消化機能を低下させてしまいます。

生きる上で必要なエネルギーは、脾胃の消化活動によってつくられます。美味しく食事を摂れるひとは元気です。ちょっと体調を崩しても、すぐに良くなります。

自分の身体を、偏った食事やジャンクフードで満たし過ぎないようにすることが大切です。過ぎない、ってことが大事です。多少はいいと私は思います。どちらにも偏らないこと、それが健康に楽しく生きるコツじゃないでしょうか。

胃袋にも自分にも、優しくしてあげたいですね。

さて、今回はこのへんで。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。