季節外れの風にご注意

黄帝内経素問

皆さんこんにちは。温度差が激しい毎日です。平気で±8℃なんて日もあります。季節に翻弄されないように用心しないといけませんね。
さてそのためには?(なんとなく答えはお分かりでしょうが)、ってお話です。そしてやっとこ次の篇に入れてほっとしている私です。

それではどうぞ。

金匱真言論篇 第四(その1)

黄帝が問います。
『自然界に八風の異常があり、経脈に五風の病変があるとは、どういう意味だろうか」
岐白先生が答えます。
「八風というのは、人体に病を発生させる季節外れの風邪のことです。八風は経脈に侵入して五風を発生させ、五臓を損傷します。
邪気が病を発生させる条件は、四つの季節の、相剋にあたる性質を帯びていることです。つまり、春の風が長夏(夏と秋の間の湿度の高い暑い時期。日本では梅雨時)に吹くこと、長夏の風が冬に吹くこと、冬の風が夏に吹くこと、夏の風が秋に吹くこと、秋の風が春に吹くこと、これらが四時の季節に勝つ(相剋)という、八風が五風を発生させ、五臓を損傷しうる場合の法則です


季節に沿った気候であることは、動植物が健やかに成長し、健康的な毎日を営むうえでとても重要です。八風は、東、東南、南、西南、西、西北、北、東北という八方から吹く風のことです。それらが季節に応じて吹いてくれれば問題はありませんが、季節外れ、それも相剋関係の気候となる場合には注意が必要だと言っています。前回に引き続き、相剋関係のお話です。さっき適当に手直しした図を参考にしてみてください。図のように、季節もそれぞれ五行に配当されます。春は木の性質、夏は火の性質に分類されています。

『東風は春に発生します。病は肝経に発生しやすくなります。治療穴は後頚部にとるべきです。
南風は夏に発生します。病は心経に発生しやすくなります。治療穴は脇、肋骨弓下部にとるべきです。
西風は秋に発生します。病は肺経に発生しやすくなります。治療穴は肩背部にとるべきです。
北風は冬に発生します。病は腎経に発生しやすくなります。治療穴は腰、大腿部にとるべきです。
長夏は春と夏の間、中央にあるとします。中央は土です。病は脾に発生しやすくなります。治療穴は脊柱に取るべきです。

つまり春の気は肝に影響して、多くは頭部に病を生じさせます。夏の気は心に影響して、多くは臓に病を生じさせます。秋の気は肺に影響して、多くは肩背部に病を生じさせます。冬の気は腎に影響して、多くは四肢に病を生じさせます。ですから、春はよく鼻水がでて鼻づまりが起こったり、鼻血がでたりしやすく、夏は脇や肋骨弓下部が痛みやすく、長夏は腹が冷えて下痢をしやすく、秋は悪寒発熱を起こしやすく、冬はよく手足が冷えて麻痺しやすいのです。

冬に過剰な労働や運動をして陽気を消耗しなければ、春に鼻づまりや鼻出血が起こることはなく、春を(養生法に従って)健康に過ごせば夏に脇などを傷めることはなく、夏を健康にすごせば長夏に腹を冷やして下痢することもなく、長夏を健康にすごせば秋に悪寒発熱を起こすことはなく、秋を健康に過ごせば冬に手足が冷えて麻痺したり、下痢をしたり、暑くもないのに汗がでたりしないのです。

精(飲食物を消化吸収してできる、すべての栄養源)というのは、身体を健康に保つ源です。つまり冬に精を消耗せずにきちんと温存していれば、春に病にかかることはありません。もし夏の暑いさなかに汗をかかなければ(汗をかかないような生活をしていると)、秋に風邪をひきやすくなります。


これが、四季の一般的な発病の法則です』

春は鼻水・鼻づまり・鼻血という症状がでやすい、とされています。身体の中のうまく制御しきれない熱が、上焦にのぼって起こる症状のようです。花粉などのアレルギー症状も、春に多いですね。肝の気が強くなり、肺の気と肝の気のバランスが崩れて、熱がふわふわと上にのぼってしまっているイメージです。
夏は臓に病を生じさせる、となっています。暑邪はいきなり王手をかましてくるイメージです。熱中症がわかりやすいかもしれません。あれよあれよという間に、手の施しようがないほど最悪な状態まで症状を悪化させます。梅雨時期の下痢は、湿邪によるものでしょうか。外気の湿度が高くなり、飲食だけでなく、呼吸によっても水分を体内に取り込んでしまいます。多量の水は血行不良を招き、身体を冷やします。秋の悪寒発熱は風邪っぴきですね。冬の手足が冷えて麻痺、下痢は寒さによる血行不良かと思います。汗が出る、というのは、寝汗のことなのか、冷や汗や脂汗と呼ばれる症状のことなのか。どちらにしても、冬に原因不明の汗をかいてしまうという異常な状態ですね。

最後は、おなじみの養生についてのお話で締めくくられています。なにはともあれ、養生法。季節にあった生活、自然のリズムに従った生活を送ることが大切。

それでは今回はこのへんで。最後まで読んでいただいた方、お疲れ様でした。