先日、よもぎからもぐさを作ってみました。5月に近所の河原へ摘みに行き、洗って蒸して水にさらして干してカラカラにしたものを、粉挽き機で葉(緑の部分全般)と毛茸(もうじ。葉の裏の白い部分)に分けました。毛茸の部分がもぐさになります。
初めはすり鉢でゴリゴリすり潰していたのですが、桑の葉などとは違い、繊維が多く硬いためなかなか細かくなりません。調子に乗って2回ほど河原に摘みに行ったので、よもぎは袋いっぱいにあります。こりゃやってられないなと諦めて、ネットで楽に粉にできる道具を探しました。あまり家電を増やすのはどうかと思い、ややこぶりな石臼はどうかと調べてみました。しかし値段も安くなく、なにより精神的(今後使い続けるか?という疑問)・重量的にハードルが高すぎました。
そんなわけで購入したのが、山本電機の「万能ミル (Y-308B-CH)」です。このミルにはロングセラーの前モデルがあって、品名を「よめっこさん」といいます。かわいらしいけども現代ではちょっと物議を醸しそうです。粉を挽くのは嫁の仕事なんかい、という難癖が聞こえてくるような気もします。もしくは「この粉挽きこそが俺の嫁なんじゃい!」という意味なのかもしれません。まぁそれはさておき、回転率とデザイン性で万能ミルのほうを選びました。
いざ使ってみると、音がすんごい。工具かっていうくらい振動が大きい。夜間にトライしなくてよかったなぁと思いつつ、遠慮がちにスイッチを押します(意味ないけど)。数十秒稼働させたのちにそろりと蓋を開けてみると、もわぁ、と煙みたいに粉が舞いました。吸い込むと咳が出るので、慌ててマスクを装着。このときエプロンを着ければよかったのですが、まったく思い浮かばなかったので、全部が終わるころには全身が粉っぽくなってしまいました。メガネに付着した粉のせいか、視界がぼんやり霞みます。部屋中が緑色になりそうだし、粉塵爆発でも起こったらことなので、換気扇を回しながら作業を続けます。ミルを回して、粉ふるいにかけ、また回す…を繰り返すと、毛茸がふわっとする瞬間がきます。ふわふわなもぐさもどきを手のひらに載せて観察していると、じわじわと違和感が膨らんできました。
「あれ?やけに緑じゃない?」
そう、普段購入しているもぐさは、黄色がかった茶色なんです。しかし出来上がったもぐさは、どう見ても緑色。一気に不安になり、ネットでもぐさの作り方を検索しました。するとカラカラに乾燥させたあとのよもぎをしばらく寝かせておくか、もしくはもぐさにしてから寝かせることで、見慣れた黄色っぽい茶色に変化するということがわかりました。そうか、もぐさの茶色はもぐさ本来の色ではなく、枯れるという結果によるものだったのか。さらにネットの情報によると、もぐさは寝かせることで燃焼時の温度が「柔らかく」なるそうです。ちょっと抽象的な表現ですね。どれくらいの時間を寝かせれば柔らかい熱さになるのか定かではないのですが、私のあては完全に外れました。今現在、施術所のもぐさの在庫が少なくなっているのです。だから今日作れば、もぐさを買わずに済むぞとほくそ笑んでいたのですが…甘くはないな、プロの仕事。
まぁとりあえず、寝かせるまでの作業は完了です。せっかくなので、粗もぐさも作ることにしました。隔物灸用の、燃焼温度が高いもぐさです。隔物灸とは、もぐさを直接皮膚ではなく、何かの上に乗せて燃すお灸のこと。ドラッグストアなどで手に入る台座灸も、隔物灸のひとつです。うちでは粗もぐさを、味噌灸や生姜灸に使っています。小さく捻る必要がないもぐさなので、少々葉や葉脈が残っていても大丈夫です。
さてすべての作業が終了、と息をつく前に、せっかくなのでもぐさを捻ってみることにしました。思ったよりもスムースに捻ることができたのですが、ちぎる時に少し抵抗感。もぐさの湿気が飛びきっていないのかもしれません。早速、しけったもぐさの再生方法、「ドライヤーで乾かす」という作業をやってみることにしました。ビニル袋にもぐさをいれ、ドライヤーをつっこみます。スタイリング用の穏やかな風が出るよう設定し、スイッチを入れます。すると勢いよく袋から飛び出したもぐさが、一瞬であたりに散らばりました。…ふ。しばし呆然とするものの、この程度の惨事は日常茶飯事なので、鼻で嗤えるくらいのダメージです。どうってことないぜ!面倒くせぇ、とぶつぶつ言いつつ(愚痴は言う)もぐさをかき集め、一回り大きい袋に入れ直して再挑戦します。今度はうまく風が伝わり、ドラム式乾燥機のようにもぐさが袋のなかを舞いました。スイッチを止め、もぐさを触ってみると、うん、いまひとつ。まぁそもそも枯れるまでほったらかしにしておくわけだから、使う時にまた天日干しでもすればよくない?と開き直り、乾かすのは諦めてこのまま寝かせることにしました。
さて、今回作ったもぐさが活躍するときはいつなのか、それともそんなときは来ないのか、それがわかるのはまだ先です。でもとりあえずこんな感じで毎年作っておけば、もぐさを買わずに済むかも知れないし、暇つぶしにもなって一石二鳥と言えるかも知れません(そんなに暇なのか)。これから燃焼温度がどうなのか、燃え方はどうなのか確かめる必要があり、結果によってはよもぎ摘みからの全工程が無駄になる可能性もありますが、まぁそのときはそのときですよね。そう言えばさっきくしゃみをしたら、緑色の鼻水がでましたね。
実は五月に、摘んだばかりのよもぎで草餅を作りました。見た目はまぁまぁだったのですが、工程が面倒くさく、残念なことに味が好みではなかったので、文章にはしませんでした。こまごま撮っていた写真もだいたい消去したのですが、一応思い出に残しておいた写真を、下に貼っておきます。あとはよもぎを蒸した汁を風呂にいれて薬湯にしたり、干したよもぎをお茶にしたりしたのですが、いかんせんキク科のアレルギー持ちなので、呼吸が苦しくなるというマイナスの結果となりました。草餅を数個食べるくらいならなんともないので、すっかり油断していました。
ホント、健康度合が中途半端なんだよなぁ。

















