助手の災難

ぼちぼち日記

当院の隠れ助手である、ミヌエットの雨(あめ)のお話です。
3月29日に、去勢手術を・・・してもらいました。去勢をするかしないか、とても悩みました。
オス猫の発情兆候のひとつに、尿スプレーがあります。これは猫を飼っている先輩方に訊くと、かなり精神力を削られる匂いだそうです。しかも機を逃してしまうと、もう去勢うんぬんは関係なく、あちこちにスプレー行為をするようになってしまうとか。ってことは匂いと精巣に直接的な関係はないということでしょうか。精巣以外で作られる匂い物質なのでしょう。(知らんけど)
一緒に暮らしてもらうためには仕方ない・・・精神を削られる攻撃はきつい・・・。でも、深刻な病気でもないのに、こちら側の一方的な理由で手術を受けさせるのは、猫にとってどうなのだろう。勝手に本能を奪ってしまっていいものだろうか。
ネットで検索する日々が続いていました。雨は生後8ヵ月。いつ発情してもおかしくない時期です。加えてこの辺りには野良猫が多く、昼夜問わず猫の鳴き声が聞こえてきます。それがオスのものなのかメスのものなのか私には知る由もありませんが、その声に中てられて発情期が始まることもあるかもしれません。時間はあまり残されていないけれど、決断する勇気がでませんでした。
そこで大の猫好きで、現在も6匹の猫を大切に育てている大先輩に相談してみました。
回答は、「絶対去勢するべき」。理由は、しなかったらストレスが溜まりやすくなり、体調も崩しやすくなるから。
そうか・・・考えてみれば、ずっと子孫を残すという本能を抱えたまま、それが叶えられない状態は、苦しいものかもしれません。生殖可能な間、中二男子のごとく悶々としたものを発散することが許されず生きていく(ただの想像です)・・・それはそれでむごいことのように思いました。すまん、雨よ。生をこちらの都合で曲げてしまって。その思いは今でもあります。ですが・・・申し訳ない。家猫として、諦めてください・・・
手術の前夜から食事の時間を制限、翌朝は食事も水もなし。キャリーバッグに入れられて、泣きながら病院へ(泣いていたのは雨です)。そのまま預け、夕方引き取りに行きました。
ドクターが傷口を舐めないためのエリザベスカラーの付け方をレクチャーしてくださろうとしたそのとき、術後数時間の雨は、目にもとまらぬ速さで診察台を飛び降り、目星をつけていたのか一目散にパソコンの裏へ。ドクターが慌てて雨を捕獲しようとしている背中を、「先生、頑張って!!」と心の中でエールを送りながら眺めておりました。
家に帰ってきた雨は、なんだか毛並みもしおしおとして、一回り小さくボロくなったようでした。そして予想通りのスネ吉でした。
今日は大好きなチュールをあげて、乾しカマもあげて、ちょっとでも気を持ち直してもらおう、と考えていたのですが、食事は明日の朝まで禁止。お腹も減って、痛いこともされて怖いこともされて、なんと可哀そうな・・・私が選択したことなんですけども。
こりゃしばらくは近寄れんな、と諦めていたのですが、次の日にはご機嫌も元通り。なんなら昨日あったことはすっかり忘れたんじゃないかなと思うほど、普段通りの雨でした。
ご飯にチュールに乾しカマ。昼寝に遊び。ちょっぴり傷口が気になるようですが、元気もありそうです。
私も一安心です。良かった良かった。
なんですが・・・抜糸がまだ、残ってるんだよなぁ。

帰宅後の雨。怒りで膨らんでいる。